EIZO社COLOREDGE CS240のレビュー
(解説)
世界中の写真家はカメラ本体とレンズに多大な投資をするにも関わらず、作品の編集に使うモニターをなぜか重要視していない人が多いと感じています。デジタルカメラが市場で優位に立って以来、編集、印刷からインターネットへの掲載または写真の保存までの一連の処理はすべてその場で撮った写真を瞬時に打ち出すコンピューターディスプレイ、つまりモニターが重要な要素となります。様々な機能があるカメラのうちから1つを選ぶのは難しいですが、最近ではプロ用のカメラは、IPSパネル技術、GB-R広色域のLEDバックライト付きが標準装備されており、EIZO社のCS240がまさにそれにあたります。最初に同製品のリリースが発表されたとき、すでに世界中で話題になっていたことを考えると、真っ先にCS240を使ってみたいと思ったのは私だけではないはずです。
重要なポイントは価格と性能であり、今回、同社がCG247の半分以下の価格を提示したことが他社の追従を退け、最終的に高性能モニターを活用する多くのカメラマンやビデオ撮影者を満足させることをEIZO社はよく理解しているなと思います。
SXシリーズが生産中止になったとき、日本人の多くの方は高機種タイプのColor Edgeと安価タイプのEVシリーズの間の中間モデルがない状況になるだろうと思っていたか方も多いかと思います。しかし、EIZO社が遅かれ早かれ、このギャップを埋めてくれるだろうと確信はしていたもの、まさかCGシリーズのいわゆるミニ版としてリリースするとは思ってもみませんでした。EIZO社はすべての写真家たちに本物のプロの商品を楽しんでもらうために、少し前までは深く踏み込まなかった高機種タイプの市場で大手メーカー対してCS240で挑むと決めたということです。
主な特長
- GB-R広色域LED搭載のIPSパネル
- :約10億色:10bit対応
- 16bit-LUT 1d+プログラマブルマトリックス
- サイズ 61cm(24.1)推奨解像度1920×1200
- 画素密度 94 ppi
- sRGB100%、AdobeRGBカバー率99%
- •デジタル均一イコライザー(DUE)技術搭載
- 5年間保証
- ⦁ ソフトウェアキャリブレーションカラーナビゲーター6も料金に含まれています。
どこからみてもすぐわかるのはCG247をスリムダウンしようとしているということです。特に色彩計、3D LUT、遮光フード、各種コントロールパネルや輝度の均一機能などが取り除かれています。その結果、高機種タイプの2つのモデルで使われているコントラストの均一性を改善する偏光フィルムがないものの、極力、同じコントロールパネルを維持するため電子基板の一部のみを変更していることがわかります。
– 構造
箱を開けると、兄貴分にあたるCG247に相当するモニターがあり、さらに内部の色彩計のみが搭載されていないとばかり思っていましたが、CS240の薄くシンプルなフレームは、製品群の中でベストかどうかは別として、安定感は相変わらずすばらしいです。おそらくディスプレイの性能を維持するために本体を変えているのかもしれませんが、同時に価格も下げています。利点の1つとしては日本製であることに加え、マット仕上げによる僅かに粗い手触り具合がCS240はほかのColor Edgeの製品群の中でも、非常にプロフェッショナルな外観になっていると言えます。ケーブルはCG247で使われていた垂直タイプに代わり、写真にある通り、取り外し可能なケーブルホルダーに通すことが可能です。
CG247のように、この新しいスタンドは垂直方向に調整することが可能です。地面に固定すると非常に安定しているため、不満は持たれないでしょう。
モニターを後方に40度倒すことが可能で、さらにCS240はチルト角度0°のとき130mmまで昇降が可能です。
– 色域
EIZO社のCS240はGB-r LED 技術を兼ね備えた広色域IPSパネルを搭載しています。ゆえに期待通りに再現できます。さらにCS240の色域はs RGB176%です。
AdobeRGB色空間は、モニターの色域(99%のカバー率 128%の面積)で対応しています。
結果は予想通り、CG247のように非常にインパクトがあります。GB-R LEDを組み合わせたAH-IPS技術は、2色のダイオード(緑色と青色)を使用して、赤色をコーティングするWLEDの以前からあった問題点を解決してくれます。これによって、色空間が大幅に増加するということは、蛍光灯が、今や使われなくなっていることと同じぐらいのことだと言えます。
CG247のレビューの中で言っていたことの繰り返しですが、性能としては最高級と言えます。
– 均一パネル – 2015年9月更新
パネルの均一性
(2015年9月更新)
CS240をColorNavigatorとX-Rite i1Display Proでキャリブレーションしたあと、画面全体の白色点と輝度の均一性を検証したところ、重要なポイントとしては:画面中央では、性能が良い一方で、画面の端ではそうではないということです。
EIZO社とDUE技術によって制御されるこのLGパネルの輝度均一性は、性能としては大変良く、平均的な性能を上回っていますが、CG247ほどの性能はありません。白色点の測定は、平均値に達成することで、その後の一連の測定をする必要性がなくなりますが、いずれにせよ、単体で行ったCS240の評価結果は、
良く、CG247で行った結果に近いものでした。
生産プロセスの分析 – 2015年9月更新-
EIZO社のCS240は、OSDメニューから2つのカラープロファイルを選択できます。これはモニターをキャリブレーションするときに、色彩計がない人たち向けに用意されたものです。よって、Adobe RGBを1つのカラープロファイルとし、もう一つをsRGBとして設定できます。次のことを確認してみましたので、クリックしてみてください。
Srgb:
Measurement Report adobeRGB
これらの2つのカラープロファイルを使う中で非常に良い結果となっています。X-Rite i1Display Proのような色彩計を購入することをおすすめします。というのも、カスタムプロファイルを作成することができるだけでなく、最終的にメニューの自動機能でメーカー設定のプロファイルを確認し、修正する必要性がでてくるからです。
– IPS GLOWとバックライトのBLEED
CS240のようなIPSパネルを搭載したモニターは、角の部分(Glow)から発生するハロ現象とフレーム(Bleed)から発生する異常な光の問題などの典型的な欠点がいくつかあります。これは、事実上すべてのIPSモニタに影響を与える共通の問題です。それは非常に厄介な問題ではありますが、どのタイプのパネルを搭載するか、そして、これらの問題をどれだけ解消するかはメーカー次第です。この場合、私達の目が良い測定器の代わりであり、黒い背景の映画を見ているときにこれらの光に気づくことができます。極端なことをいえば、暗い部屋で黒い画像を表示したまま、パネル撮影することもできてしまうということです。EIZO社はモニター上の輝度と色調の変化を調整するDUE(デジタル均一イコライザー)技術を搭載したColorEdgeシリーズをすべてのモニターに装備しています。色の均一性と明るさのどちらかを優先するかを設定することが可能です。
人間の目ではフラッシュの光がよく分からないのでこの現象をきちんと見せるため、通常のパネルの使用状態にならないよう1/2秒、ISO1600、f/3.2で写真を撮りました。すると、ブリーディング現象は全くなくなる一方で、上部の角からフラッシュの光と、左下に僅かに赤い色調が見えます。ただし、全体的には非常に均一で、うまく表示されていると思います。市場では通常ではこの光の浸潤の問題となっているIPSモニターがありますが、この場合はそうでありません。
– カバーリングと読みやすさ
数日前に頂いた具体的な質問(juzaphotoのMAUさんより)に回答するためにも、テキストの読みやすさに特に気にかけてきました。マット仕上げはCG247で使用されていたものと同じであるように思われ、
いくらかの粒度の影響なくに反射や迷光からきちんと保護されることで、テキストの読みやすさにつながっていると私は思います。
[画像×2]
最初の画像はニコンD800Eで、2倍の倍率の60mmマイクロレンズで撮影しました。2つ目の画像は同じレンズですが、より長い距離(マクロではなく)で撮影しました。
-ColorNavigator 6
これまで何度も「キャリブレーションに関するレビュー」でこの優れたソフトについて言及してきました。EIZO社がこのソフトを無料で提供すると決めたことを考えるとCS240でこのソフトを試してみることは非常に興味深いです。(ちなみに以前のモデルでは別売りで200Euroでした)
PCにソフトをインストールし、キャリプレーションを起動させると、OSDメニューによるいくつかのメニュー設定を遮断することで、モニター本体の監視を行っていきます。CG247に比べるとオプションは少なく、CS240には3D LUTによるすべてのエミュレーション機能は搭載されていません。
新しいプロファイルを作成するには、別にセンサーを購入する必要があります。私はX-Rite社i1Display Proを使っていました。ソフトにはすでに3つほどプロファイルがプレインストールされています。もしさらに追加したい場合は、 “create new target”をクリックすることで追加が行えます。
このソフトはCX271にも搭載されているようにLUT1D+マトリックスパラメータをモニター上で16ビットに変換しています。そのため、キャリブレーションすると自動的にWindowsのカラーマネージメントコントロールを削除することで、「ハードウェア
として導入されます。 同CN6ソフトはモニターを管理するためのPhotoshopのようなCMS(カラーマネージメントシステム)用のニュートラルプロファイルもシステムフォルダ内に作成します。CX241とCS240は典型的で、信頼性のある1D LUT1+マトリックスがベースとなっています。2つのモデルのちょっとした差はセルフコレクションセンサーがある点と輝度の安定化機能があるかの違いです。プロファイルの検証結果はパネルが経時的に変動する傾向があることを考慮すると優れた結果となっています。
次のチュートリアルでは、少しずつColorNavigator6(以下CN6)の使用方法について説明します。
– OSDメニュー
モニター下部にあるボタンからOSDメニュにアクセスします。色彩計のあるモニターをキャリブレーション(いつもおすすめしていることですが)が出来ない場合などの“緊急時”に使える標準搭載されたカラープロファイルのパラメータがメニューにはあります。“MODE”をクリックすることで、これらのプロファイルにアクセスができます。
CAL2ではCN6によって作成されたカスタムプロファイルの状態とLUTモニター状態を表示します。手動設定ができるカスタムモードと違って、OSDメニューから編集は行うことはできません。
“進む”をクリックすると、追加設定が編集できます。
メニューには、モニターの取扱説明書に記載されている通り、アドバンス設定を表示できます。
「モニター情報
を選択すると、モニターの購入情報や現在のモニターの使用時間が分かります。
Color Navigatorの性能の良さを理解する上で大事なのは、キャリブレーションや各種設定を行っているとき、OSDメニューの動作をブロックし、モニターにつながることです。
モニターのスロットにプロファイルが保存されると、ユーザーに返答があります。
– 接続と機器
EIZO社のCS240は、5つの入力と2つの出力があります。
HDMI1.4
DVI-D
ディスプレイポート1.2
2つのUSB2.0の入力
2つのUSB2.0の出力
イタリアでは、以下のアクセサリが付属しています:
- ディスプレイポート用ケーブル(ミニ/レギュラー)
- USBケーブル
- DVI-Dケーブル
- 電源ケーブル
- ColorNavigator6と取扱説明書
- (スタートアップガイド)
注意:イタリアでは梱包の中にあるDisplay portケーブルは実際はこの写真(Photo)ようにMiniコネクターが含まれた2つの接続アダプタータイプです。モニタは標準のコネクターで、もしご自身のビデオカードがこの写真(Photo)のコネクターであれば、Mini DisplayPortアダプター( Adattatore Display to Mini DisplayPort )または、その代わりに、 標準タイプで2メートルのDisplay Portケーブル(Cavo DisplayPort 2m con connettore standard )を準備する必要があります。
– Spazio di lavoro
•作業スペース
近年では、画面の対角域は、解像度とともに大きくなっています。EIZO社は内容の読みやすさと画像を処理しやすいスペースの両方のバランスがある1920×1200の解像度を活用しています。CS240は16:9ではなく、写真の縦横比に最も適している16:10の画面サイズ、さらに最も視覚的に快適性のある94ppiの画素密度を適用しています。
表示解像度が大きい場合、オペレーティングシステムとプログラムがスケーリングに対応していない場合は、妥協しすぎてしまうことがあるかと思います。画像を編集するスペースが十分に確保できる場合もあれば、一部の内容を簡単にサイズ変更することを気に入らない場合もあるかと思います。もしテキストの品質を損なうことなく、実際にサイズを変更することができるのならそれは、JPGの画像のラスタグラフィックスと同じことではありません。つまり、本当に良いモニターとは高い解像度にめったに変換しなくても、インターネット上のJPGのような小規模のラスタグラフィックスは表示しないのです。
–
•10ビット
CG247は、CX271のように、典型的な8ビット(1670万)と比較すると、チャンネルあたり10ビットで、10億7300万色を表示します。このことは大きな飛躍です。例えば、このことは空と前景の間のコントラストが高い風景写真などの強力なグラデーションがある画像のバンディングを低減します。 10ビットを試すためにはFLEランプ;Test dei 10 bit をダウンロードできます。
もし均一なグラデーションの代わりに灰色のバンディングが確認された場合は、10ビットが正しく動作していません。
10ビットについて多くの記事を書きました。我々が必要な機能を利用するには、要約すると、
- NvidiaのQuadroまたはATIファイヤープロ(150€から始まり、それ以上の価格)のようなプロのビデ
オカード
•ディスプレイポートケーブル
•10ビットのモニター
この機能を使用することができるプログラムは、Adobe PhotoshopのCS5バージョン+です。
結論
何度かCS240を使用してみた上で、私が持っているEIZO社の他のCG247とCX271と比較すると、写真家の皆様に直接、自信を持って言えるのは市場で、700Euro(実際は679Euro)以下で、CS240ほどのパフォーマンスで、より完璧で性能のよいモニターは見つからないでしょう。EIZO社はミドルクラスのモデルをリリースすることで、自分たちの限界を制限することなく、非常にうまく競争に対応してきました。そして、プロ用のディスプレイを家庭にも浸透できる製品を導入したと言えます。もし、27インチのCX271が気にならないのなら、5年保証で、ハイパフォーマンスで、ローコストのプロフェッショナルなモニターを選ぶチャンスが今あるのです。いわゆる“ミニCG247”の価格を達成するために、さらにレビューで掲載したパフォーマンスを得るために、EIZO社は抜け目のない技術で、さらに製品設計に影響することなくいくつかの部品を削減しているのです。CG247は確かにパフォーマンスがより優れており、価格が違うことがそれを証明しています。(2.5倍以上)2つのモデルはCG247がプロの印刷業者とビデオ撮影者向けで、CS240が写真家向けという具合にそれぞれのターゲット市場が異なるため、お互いに競合することはありません。結論として、安定したパフォーマンスとリーズナブルな価格、さらに16:10フォーマットを好み、24インチのモニターを探している写真家の方々はぜひともCS240の購入を検討してもらいたいと強く思います。5つ星評価とベストバリューをつけたいと思います。ご自身の投資が価値あるものになるはずです。
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